第24回 認知症多職種事例検討会 H30.5.16(水) 133名

「必要な医療と介護を強く拒否する一例

砂川市立病院認知症疾患医療センター長 内海久美子氏

家族の不適切な介護により15年間在宅でみていた家族は、施設入所も拒否していたが往診している、かかりつけ医と当院との協議し、家族の同意を経て医療保護入院となった。認知症と複雑骨折が判明。虐待も疑われたが、献身的な家族の介護と本人のここで死ぬという権利を優先するのか入院治療を優先するのか医療者側の葛藤もあったが、現在は本人も穏やかに入院生活を継続し看護師に感謝の言葉がきかれている。今回の事例を通して、医療職の判断や家族の思いを統一させていくことに困難さを感じ、人権というものを思い返す一例であった。

後半の認知症レクチャーは前半の事例にも関連した、「認知症の方の医療同意の難しさ」について同じく内海久美子医師から実例を交えた報告があった。認知症であるがゆえに、手術できなかた事例から、認知症と診断しなければ手術ができたのかもしれないという悔しさ。他にも手術することで認知症の方の判断能力のないがゆえに術後管理ができず返って不利な状況になることもあるという。本人のための同意とはどういうものなのか考えさせられる実例報告であった。